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戦場のピアニスト

冷たい地面に並ばされた労働者。それを取り囲む将校。
列の偶数番目に並ぶ人々に「前へ出ろ」と命令する。
偶数番目、ということにおそらく理由はないのだろう。
最悪なのは、前へ出されたメンバーの中に自分も含まれていること。
待ち受ける運命は言うまでもない。血管に氷水を流し込まれたかのような恐怖。
「跪け」「伏せろ」無感情な声。
そして銃声。生暖かい固体と液体が路上にぶちまけられる音。
それらが一定の間隔で聞こえ、9回鳴ったあとにはもう自分のすぐ傍へ。
覚悟する。というよりは、もう諦めて力がなえてしまっている。
だが、あの音が聞こえてこない。まだ自分は生きている。
かわりに頭上で鳴るカチャカチャという音。
そのもとを見あげると、弾切れのルガーにゆうゆうと再装填している執行者。
ほんの少し刻眼は伸びたようだ。だが、走りだし逃げようという気力すら湧かない。
やがて、レバーが戻されてこちらに向けられる銃口の鋭い気配。

目が覚めた。もう昼過ぎだった。
昨日(2009.1.3)の4時過ぎまで、テレビでやってた「戦場のピアニスト」を観ていたのだ。
映画を見たからってこんな風に夢にまで出てくることはなかったのだが、上記のシーンが印象に残りすぎたのだろう。抵抗も逃亡もあたわない暴力、というのが生々しく伝わる演出だった。

実在のユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ウワディスラフ・シュピルマンの自伝をもとにした映画。
ナチスドイツのワルシャワ侵攻によって財産と職業、住処を奪われ、どんどん悲惨な状況へ追いやられていくユダヤ人たち。収容所に送られる直前、知人のユダヤ人警察官に助けられ、市内での隠遁生活を送ることになった主人公。小さな視点から、大きな混沌の片鱗が描かれる。

ロマン・ポランスキ監督映画というと、まだ「テス」しか見たことがないが、風景描写が高く評価されていると聞く。
「テス」は19世紀末のイギリスの片田舎の風景描写が悲劇的なストーリーを引き立て、とても良かった。
「戦場の~」は、死臭の漂うゲットーとその外のまだ活気の残る街、そしてその二面に分けられた街ワルシャワが戦禍に荒廃していく様子が鮮明に描かれている。

主人公は部屋から一歩も出てはならないような生活を強いられているため、窓からの視点で状況が伝えられるのが特徴。
ワルシャワ・ゲットー蜂起やワルシャワ蜂起といった事件も、主人公の小さな視点だからこそ緊張感と臨場感をもって迫ってくる。

観る前まで自分は、「銃弾が飛び交う戦場の真ん中の廃墟で、ひたすらにピアノを弾きまくってる音楽家の話」、というようなどこかお気楽なお伽話のようなものを予想していたのだけれど、全然違った。
あくまで実話に基づいた、混迷の時代に必死に生き抜いた平凡な男の体験記。
重苦しい描写も多く、なかなか見ていて辛かったが、良い一本だった。

映画自体の感想とはまったく無関係なのだけど、やっぱりテレビのなんとか洋画劇場みたいので映画を見るべきではないな、と改めて思った。
ブラック・ホーク・ダウンを観た時も顕著だったが、CMと番組枠のために色々カットされてるのがもろわかり。
「戦場の~」も本当は150分の作品なのに、テレビ放送では120分(CM込み)。
今度はDVDで見ましょうね。ブルーレイも折角PS3があるのだから一度試してみたいけど。
いやいやそれより、まずは劇場の大スクリーン。一年一度は足を運ぼうと思ってたのに去年は行かずじまい。今年こそ何か行きたいものよ。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

心配しなくてもエヴァがあるじゃないか

No title

ああそういえば「破」が夏公開でしたね。
まぁ実写ものも何か久しぶりに、と思っているのだけど。ハリウッドアクションとか何だかんだで大画面ではターミネーター3以降観ていない。

No title

ヱヴァの間違いだった。
スマソorz
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