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伊藤計劃さん逝去

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戯けた日記を書き終え、さてブログチェックでもするかと最初に開いた、「伊藤計劃:第弐位相」。
伊藤さんの闘病生活のため1月から更新が途絶えてはいましたが、ほぼ毎日チェックをしていました。
それゆえに、急に数が増えたコメント「user」数と☆の数にはすぐ気づきました。
そして、それが意味するであろうことを恐れつつ、それでも幾ばくかの希望をもってコメント欄へ。
やはり、亡くなられたらしい。
かなり前から癌を患っていることは聞いていたので、こうなることはある程度覚悟したとはいえ、実際にその報に触れると呆然としてしまうものです。

最初にこの人の名前を意識したのは、MGS2の感想文でした。
たしか、「ファーストインプレッション」というタイトルで、彼のサイト「spooktale」に公開されていました。
MGS2といえば、渋くて頼れるスネークじゃなく若く頼りない雷電が主人公だったり、後半からのどんでん返しが凄まじかったりで、色々と批判を受けるゲームでした。
MGS信者である自分にとっても、1に比べてどうも納得のいくストーリーで無く、もやもやした気持ちでいました。
そんな中で出会った伊藤さんのレビュー。伊藤さんは「恐らくMGS2は最も評判の悪い小島作品になるだろう」と前置きしつつも、独自の視点から2の物語を分析していました。
特に、MGS2の「選択肢が無い構造」を「完結できえない物語」として、プレイヤー(=主人公)の意思の不完全性を説く部分は非常に面白かったです。
さすがは、「小島原理主義者」を標榜する伊藤さん、いいセンスだ。
ネットのどこかに落ちていないでしょうか、このMGS2評。もう一度読み返したいものです。

そういうわけで、「spooktale」を隅から隅まで読み漁り、ブログ「第弐位相」も毎日チェックするようになりました。
なるほど、こう観るのか。こう評するのか。と、何度も驚かされました。
映画・小説についての知識が不足していることを痛感させられることもあり、刺激になりました。
前に挙げたこともある、レビューの書き方についてはこれからも念頭に置いていきたいです。

そして、2007年に出版された近未来軍事SF「虐殺器官」。
小松左京賞からは最終選考で落選してしまったものの、「SFが読みたい!2008」で国内一位を獲得するなど、高い評価を受けたデビュー作です。
内省的で繊細な軍人、という変わった主人公によって語られる、管理社会化された先進国と虐殺が急増する後進国の並立する現代世界。
人間の意識や良心の存在、人間にとっての言語の位置づけなどなど、様々な主題について細かく切りこまれていて、かつ、緊張感のあるミリタリーアクションとしての魅力もありました。
また、その世界観を彩る小道具の数々の面白さに魅了されました。
サークルの読書会でも題材にしました。

長編二作目は、MGS4のノベライズ。ゲームと同日(2008.6.12)に発売。
実にゲームに忠実。それも、ただゲーム脚本をそのまんま小説仕立てにしたような手抜きなものではもちろんなく、多くの登場人物の心情をしっかり解釈して描き、過去作品の内容も所々でリンクさせる、とても丁寧なものでした。
キャラ描写より世界観の描写に重きを置くと言われる伊藤さんですが、最期の戦いに挑む老兵スネークと、それを見守るオタコンの姿はゲーム本編に劣らず素晴らしかったです。

長編三作目は、昨年末に発売した「ハーモニー」。
これについては、前にここでも感想を書きました
”病的な健康”ともいうべき世界観を始めとした、全編に流れる死のイメージは鮮烈ではありましたが、同時に作者本人の生命の危機を感じさせられました。

伊藤さんの死をある程度覚悟していた、と書きましたが、これは何とも傲慢で無礼な表現です…
…重い病と闘い、そこから得られたものを作品にも生かす、そんな強さ(或いは強かさ)を持ちながら、基本は自虐精神を忘れない。そんな彼が迫られた、自らの死への覚悟のことを考えると。
伊藤さんの大学の後輩でもある漫画家・篠房六郎さんの日記にも、伊藤さんの覚悟について触れられています。
自分は所詮健康的で自堕落な生活を送る一読者にすぎませんが、篠房さんは伊藤さんの親友です。
それでも、いざ覚悟についてを問われると、まともに受け答えできなくなってしまったといいます。

そこにも触れられているとおり、伊藤さんはバットマンの名悪役・ジョーカーが好きだったそうです。
「ダークナイト」に関するブログ記事も非常に面白かったです。
叶うことのない願いですが、ジョーカー的な悪役を小説で描いてほしかったものです。
小説の内容自体、ひいては伊藤さんという人の性格自体が、ジョーカーのような精神性…表では堕落的に見えて、裏では精緻な計算を張り巡らせている…に溢れてはいましたが。

まだ長編3本と、短編数本を世に出されたばかりの夭折。
とても、残念です。
しかし、彼の産み出した文章から自分が得られたものを失わずに、生かしていきたいという念を新たにしました。どんな形で生かしていけるか、それはまだ見えません。
今はただ、そんな風に自分に新しい世界を啓いてくれたことへの感謝と、志半ばにして逝ったことへの哀悼の意を表したいと思います。
MGS2のビッグシェル占拠事件は、2009年4月29日に発生したという設定。
つまり、今から一か月少し後です。
この日にはファンとして是非、リアルタイム(?)プレイをしたいもの。

ところで、MGS4は2で発生した「完結できえない物語」を無理やりにも畳んでしまったといえます。
このことに対する伊藤さんの考えを知りたかったです。
ノベライズをした以上、批評は書きづらかったというのもあるのでしょうが。
もしかしたら、小説版から読み取れるかもしれませんので再読しようかと思います。

それと、コミケなどで出されていた同人誌も読んでみたいです。
情報あれば、ぜひお願いします。

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が、生来のヘタレゆえ、なかなか数がこなせない。

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