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ウォッチメン

週末に近くの総合商業施設のシアターにて、サークル仲間3人で鑑賞。
冷戦末期に刊行されたアメコミの実写版。
監督は「300」のザック・スナイダー。

20世紀アメリカの歴史の陰には「ウォッチメン」と呼ばれるヒーロー達がいた。
時は、米ソ冷戦期。アフガン侵攻を巡り、両国は一触即発の状態にあった。
そんな1985年、かつてのウォッチメンの一人である「コメディアン」が殺害される。
仲間だった仮面のダークヒーロー「ロールシャッハ」は、この事件を「ヒーロー狩り」の始まりと予感し、他のメンバーに警告して回り、独自に調査を開始する。
真相は如何に。

2時間40分の長丁場。これでも長い原作を忠実になぞりつつも適度にカットしてるらしいが、それでも不必要な部分が多いように感じた。
特に、ベッドシーンはいくつか省いちゃっていいだろう。ただでさえ悪い後半のテンポがさらにダメになっていた。そりゃ、「ヒーローも人間だよ」って映画だから、全部省いちゃったら話が成立しないけど。
また、アクションシーンとアクションシーンの間隔が長いので尚更だれる。サスペンス仕立てだから仕方ないっちゃぁ仕方ないけども。

「コメディアン(=暴力と酒とセックスが好きな、”典型的”なアメリカ人)の再評価」という、興味深い要素も描いているのだけれど、最後の最後の詰めが甘い…というかよくわからないことになっている。ネタバレだから詳細はここでは省くけど、殆ど矛盾と言っていいい描写がなされる。
「人間だれしも矛盾を抱えて生きている」って類の、”納得しうる矛盾”として解釈してしまうしかないのだろうか。

もちろん、好きな部分も多い。
曲(ボブ・ディラン「世界は変わる」)がぴったりな、OP。
ロールシャッハさんから滲み出るドーティズム。
”世界一賢い男”ヴェイトのウェスカーっぽさ。
粉みじんにされるわ土下座させられるわ、可哀想すぎる北ベトナム兵。
唐突に出てきてやられるチョンマゲ軍団。
空中セクロスのファイアーフィニッシュ。
CGやスローモーションを多用した、映像面についても「300」と同様、良いかんじ(多少、CGっぽい・安っぽい部分はあったけど)。閉塞した暗い雰囲気が再現された、冷戦期のニューヨーク。かなりグロいわりに、嫌悪感はうまく排除された(被害者が苦しむ場面がないからだろうか?)スプラッタ。対照的に、かなり痛そうな攻撃ばっかりな、通常の暴力シーン。

しかし、やっぱり全体を通して、面白いとはいいがたい。
その原因は最初に触れたように、話のテンポの問題が一番ではあるのだけど、もうひとつある。
オチのつけ方だ。
以下はネタバレ気味なので、見たい人だけ見れるように高等技術を初投入してみる。
アブリダシって言うらしいぜ、コレ。↓
米ソの全面核戦争の危機は、ある事件によって急速に解消・和解へと向かう。
何かっていうと、人類共通の敵の出現だ。
「敵があって、国家が団結する」、ってのは昔から今に至るまで生き続ける概念だけど、「人類の敵が出現すれば、いがみ合っていた国家同士も団結して立ち向かう」っていうのはそれとは話の規模が違う。
さて、どうなんだろう。途方もない強敵が現れれば、本当に人類は結束するのか。
ウォッチメンの原作は冷戦期に描かれたものだ。あの時期の世界情勢についてある程度知識がなければこの映画は楽しめない…という評価もある。が、自分としては「冷戦とそれ以後を(メディアを通して、だが)知ってしまってるからこそ、あのオチがしっくりこない」と感じた。
要は、あのオチは、新鮮味と説得力が失われて久しいのではないかってことだ。
あれはアメリカとソ連の二項対立が他の何にも増して目立っていた時代だからこそ成立した、ある種の楽観。
その対立がやっと終わって、今度はあっちこっちの泥沼が見え始めてきた現代に通用するとは思えない。
敵意や悪意に対して鈍感としか思えないオチ。作中で性悪説を語る者があのオチを信じて導こうとするってのも、おかしな話…ジョークだ。
あの結末はジョークだ、と作中でも語られるが、それは「あんなホラ話が成立してしまったぜ」って意味でのこと。自分の思うような、「これは成立しえない、つまりジョークだ」って考えとはまったく逆なのは言うまでもない。
実にわかりやすく、あのオチを否定してくれるセリフを思い出した。

※「イリヤの空・UFOの夏」のネタバレあり↓
「おれが思うにだな、人類にとってのUFOは、テレビショッピングの健康器具みたいなもんだったんだよ」
「ああいうものを買って身体をシェイプアップできる奴もそりゃぁ中にはいるだろう。だけどな、そんな奴は最初から、健康器具なんて買わなくたって腕立て伏せやランニングでシェイプアップができる奴だったってことなんだ。それと一緒だよ。UFOが攻めてきて一致団結するくらいなら、人類は、そんなもん攻めてこなくたってとっくの昔にダンケツしてたはずなんだよ」
…「イリヤの空・UFOの夏」(秋山瑞人)4巻255~256ページ

皮肉と諦観に徹底した、こっちの考え方のほうが納得いってしまう。
デビッド・ヘイター(英語版スネークの中の人。MGS4冒頭のテレビ番組にも出演)が脚本書いたこともあったけど、いろいろあってお流れになったとか。
そういや「スポーン」の脚本はあの人が担当だったっけ。

この記事、一度書き終えて保存しようとしたらなぜか最初に書いた部分だけに戻っちゃった。
具体的には、炙り出し部分のみ。
糞仕様乙!

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非公開コメント

果敢に地雷源に突き進んで爆死する、そういう気持ち、大切にしたいね。

No title

>wadさん
しかしドラゴンボールのような見え見えの地雷というわけでは無かったという罠

No title

マジ罠、映画館は地雷の園。

ところで、共通の敵→一致団結て流れ、幕末(これは国家内の事例だが、国家の定義が曖昧な時代のものなので入れておく)とか対テロ戦争に照らすと説得力は薄いけど、それはそもそも本当に「共通」の「敵」かどうかの2点が不明確な場合であるからだと思う。SFではあるが、明確に人類の敵の出現と言えるような、「宇宙戦争」やら「インデペンデンス・デイ」レベルの事態になると、あながち説得力なしとも言えないんじゃなかな。少なくともそんな事態においては、indifferenceじゃないけど、生存という共通利益に向かって、差異よりも同質性の方がクローズアップされることには納得できる。勿論、「共通の敵」がいなくなった後にどうなるかは問題となるけども、差異が歴史的なものを含む以上、一部共通の歴史を持つにいたった点は大きな変化と言えると思う。

とはいえ、人間の合理性をどこまで信頼できるかってところが歴史に照らしても非常に疑わしいので、そこから先をどう想像するか、秋山さんの予想のようにぶった切るか、理想を信じてマンセーするかは各人の自由で、後はUFOが出てきて証明してくれるのを待つしかないんじゃないかな?

あの映画の描写には到底納得できないが、それは理想論だけ語って実現過程の描写が足りてなかったことが原因であって、ああいう考え方も、現代においてもなお成り立つと、俺は思う。

No title

>wadさん
たしかに、まったくありえないと切り捨てるわけにもいかないんですよね…。何しろ実例がないわけだし(あたりまえだ)、wadさんの言うような話もわかります。
となると、「生存が最優先」という事実が本当の意味で誰にでも呑み込めるかどうかっていう命題のシミュレーションの話になるんでしょうか。
イリヤの場合はかなり遅いタイプの侵略だったので、比較対象としてどうかという気もします。

描写の足りなさについては、どうなんでしょうね。
ソ連側の内情がちっとも見えてないせいでしょうが、そんなもんいちいち描くもんでもないし。
まぁそもそも陰謀ネタって「社会なんてものは我々の前には機能しないのだよ!」みたいなノリで、社会だの民衆だのの描写をかっとばすものだとは思うのですがね。
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