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さっすが~、春夏さんは話がわかるッ!

「さっすが~、春夏さんは話がわかるッ!」

本日は、とあるエロゲをプレイ中につい呟いてしまったこの台詞改変ネタについて、長々と説明することといたします。

序破急の三章に分けて話していきます。
(CAUTION・筆者の性的嗜好を露出するようなかなりキモい話が含まれているので、不快感を催した方は即ブラウザの戻るボタンを押したうえで、俺が全裸で土下座する姿を思い浮かべればいいと思います)

)「さっすが~」の元ネタであるSRPGについて
)春夏さんとは、とあるエロゲのとある場面とは
)なんでエイプリルフールにこんな話を


まずゲーム名を明かしてしまうと、SFCの『タクティクスオウガ』。昨年末にはPSPでリメイク版が発売されました。いろんな場でしつこく語っているけど、俺はこのゲームが大好きです。
変則的なターン制と高低差のあるクオータービューマップ、種々の職業の特性を活かして行われる戦闘も良いけれど、やはりこのゲームの素晴らしいところは、自ら手を汚して理想を追うということを真正面から問うたストーリーでしょう。ヤンデレブラコンプリンセスことカチュア姉さんの輝かしさについても筆舌に尽くしがたいのだけれど、それは本稿では置いておくこととします。

無辜の民の血で自らの手を汚してまで理想を追うことを是とするか、否とするか…第一章のラスト、主人公達はまさにその選択を迫られる。
バルマムッサの町。多数派民族ガルガスタン人によって造られた、少数民族ウォルスタ人の強制収容地区。同胞の開放を目指す主人公らは町に潜入し、住民に蜂起を呼び掛ける。しかし、自由を求めての死よりも隷属のもとの生を受け入れている彼らは、説得には応じない。途方に暮れる主人公らに、上官から信じられない命令が下る。

「今から、町の住人を一人残らず殺すんだ」

住民の説得が成功しないだろうことはわかっていた。
ならば、密かに同胞らを皆殺しにせよ。そしてその惨劇を支配者ガルガスタンの仕業に見せかけることで、味方をも欺け。ウォルスタ陣営の士気を向上させるのだ。
あまりにも残酷な選択を迫られ、若い主人公は苦悩する…。


…というように、非常に生々しく重苦しいストーリーが特徴です。以下に説明する「さっすが~」の場面についても、同様であります。

美しき女闘士セリエ。彼女はゲリラを率いて辺境の砦に立て籠っていたが、暗黒騎士オズの精鋭部隊の攻撃により壊滅させられる。リーダーであるセリエは一人生け捕りにされ、オズらの前に引き出される。
「殺せッ」
この土壇場にもセリエは毅然たる態度で臨むが、かえってオズの嗜虐癖を昂らせるだけであった。オズが部下らに言い放つ。
「よぉし、この女はお前たちにくれてやるッ! 好きにしろッ!」
思わぬ褒美に、部下たちは下卑た悦びを露わにする。
「さっすが~、オズ様は話がわかるッ!」
彼らに囲まれたセリエの弱弱しい声を最後に、場面はフェードアウトする…。


どうみてもレ○プですほんとうにありがとうございました。こんな場面が、SFCのゲームで。本当に胸糞悪い。しかし、戦争状態においてこういう事態が頻繁に発生するという事実からも、目を逸らせません。例え2Dゲームというかなりデフォルメ度が高いフィクションであっても、訴えかける力があることは否めないでしょう。

ただ…、あまりの酷さのために、逆にネタにされてしまうことも多い。本稿もそのクチです。これは、暴力性の高い映画において人が死んでいく様に何故か笑ってしまう…というようなアレに近い。いや、どちらかと言えば、ジョジョやバキのような濃ゆい漫画の濃ゆい台詞がしばしば引用されるようなアレに近いか?
本稿では、これが不謹慎極まりないネタであることを自覚し、悪意は無く、ある程度反省したうえで、ネタにしています。そのことをどうか御了承いただきたいと思います。


Toheart2。の、Xrated。柚原このみのルート。
三月。暇な時期だし、ソフマップで安かったので、つい買ってしまった。あ、決して可愛い女子高生達とイチャイチャエロエロしたいというスケベ心からじゃなく、現代を生きるオタクの基礎教養として学園萌えものの基本を押さえようという純粋な学究精神からプレイしたわけなので、そこのところを勘違いしないでいただきたい。わざわざエロシーンがあるPC版を買ったのも、萌えと性欲の境界を学ぶのも重要だという考えの結果であって、18世紀にジークムント・フロイトがアウフヘーベンしたことで一般には認知的不協和されている形而上生物学の高次応用唯物論とも通じる、(以下略)
まぁそんなわけでプレイしたのでした、東鳩2を。初エロゲに適した作品だと言うけれど、俺がエロゲ童貞を捨てた作品はダ・カーポ。嫉妬深くて可愛い義妹とか、気さくで歌姫な学園のアイドルとか、みんな可愛かったし、どう見てもみんな中学生だったし、性欲を持て余したものだ。その後いくつか学園ものをやって、クラナドのアニメ版により萌え美少女全般に懐疑的になったり、はにはにのだるい日常描写と必要性を感じない超展開にがっくりきたりと色々あって、しばらくエロゲから遠ざかっていたような気もしなくもないのだけれど、原点回帰というかなんというか、また基本を押さえてみたくなって、東鳩2を買ってみたわけだったのでした。
誰から攻略するか。これは重要です。DCは音夢やことり、さくらを最初の方に潰してしまったせいで全員攻略までは息が続かなかったし、はにはには後に取っておいた保奈美ルートがあまり面白くなくて(EROかったけど)これまた気力を失ったもの。
だが、フルコンプに拘らないならば、好みのヒロインのみをクリアしてしまえばいい…数年の修練を経て、俺はやっとそのことに気付いたのでした。とりあえず、一人。まず、一人選べばよいのだ。
出来る。出来るのだ。
が、東鳩2については好みのキャラが多くて迷ってしまいました。
だけどそんな折、こんなことを思い出したのでした…。

めちゃくちゃ可愛いぞ、と誰か(※)が言っていた。
だから、自分もやろうと決めた。
トゥハート2の開始時に、まずは柚原このみをファックしてやろうと千倉歩は思った。
          (雷撃文庫刊『チクラの空・EROの冬』より)


そんなわけで、最初はこのみを攻略することにしたのでした。
幼馴染から恋人へ、ってな王道ストーリーで、まだまだ幼いながらも少女としての成長を始め、主人公を異性として意識し逡巡するヒロインは可愛らしいし、主人公もまぁそれなりに純情に頑張ってくれるし(←上から目線)、ニヤニヤと頬がほころぶものだったと思います。
とある事件でこのみの好意を知ってしまった主人公ですが、ついそれに気づかないふりをして、彼女をなんとなく避けるようになってしまう。彼女にも自分にも嘘をついた彼だったが、色々あって向き合うことを決意し、河原での小さなぶつかり合いのあとに、唇を重ね、恋人同志となる…という具合に、物語は終局を迎えます。
ですが、これは18禁の美少女ゲーム。当然、このあとにエロシーンが控えております。

ここで個人的な趣向の話になります。僕はエロゲにおけるエロ直前の展開が非常に好きです。いや、エロ自体も好きですが、なんというか、こう…一線を越える前の初々しいやりとり?っての?ぶっちゃけ俺自身童貞だからいまいちうまく言えないんだけど?まぁそれはおいといて?好きなンですよ、童貞と処女の間で大胆かつ繊細な心の動きが見える、あの恥ずかし展開が。
だから自分は、「エロ前」のシーンを時々見てにやつくという変態行為に耽るために、エロシーン前後に行う所謂「賢者セーブ」だけじゃなく、エロに入りそうな展開が始まった時を見計らったセーブも行います。修練の末に培われた静かなる力を滾らせる印象を持つ「賢者セーブ」という言葉に対して、天に選ばれし者が約束の瞬間に大いなる力を解き放つ様を彷彿とさせるこのセーブを「勇者セーブ」と呼びます(今考えました)。

正確にはアニメ版の話なので例としては不適切ですが、efのみやこルートの、主人公「原稿の前じゃないと気の利いた台詞が出ないな」→みやこ「原稿のあるところに連れて行ってよ」→どうみても事後、という流れは美事かと。原作における想いのすれ違いと確かめ合いも良かったと思うけど、台詞のインパクトでアニメに軍配が上がってしまいます。

こういう趣向があるゆえ、エロシーンそのもののシチュについても、普通に部屋のベッドで事に及ぶものの方が性欲を持て余します。教室とか屋上とか木陰とか、下手したら見つかって退学になるだろそれ、と突っ込みたくなるとこで事に及ぶのは、なんかイヤです。このことについては、突っ込めばいいというものではないのでしょうが、どうしても突っ込まざるをえません。陰茎と同じですね(巧いこと言ったぜ!パクリだけど)。
「他人に見つかるかもしれないスリルを楽しむ」って言うけれど、そんなとこで忙しなく交合するよりは、ベッドのある部屋という、二人きりが保障された空間でしっぽりしてた方が…フフ…その…下品なんですが…勃起…してしまいますね…。
また、合意へ至る流れが好きなので、当然、凌辱物とかは受け付けない純愛小僧です(←まるで私は女性の味方ですとでも言わんばかりのキリッとした口調で)。和姦じゃないとイケねぇんだよ、ロック。
そんなわけなので上の項で述べた、TOの話がわかるッ場面でも、性的興奮はしません。それと、その…ERO同人誌も、とらのあなとかでざっと見渡す限り、凌辱物の割合が高くて…なんだか…せっかく少し作家名がわかるようになってきたのに…悔しいっ…ビクンビクン。
なぜ「エロ前」をそうも好むのかと言うと、恐らく、思春期のEROグッズ不足とか、桂正和漫画における寸止めとか、シオンの丘議定書とかが関係していることが確定的に明らかだけど、とりあえずは関係ないところなのでここでは詳述を避けます。

話が長くなりました。ともあれ、これがエロゲーである以上、恋人同士になった主人公とこのみには、この後にエロ展開が待っているわけです。そして、もう一つ言えば、エロ“前の”展開も待っているわけです。俺は当然、ステンバーイしてゴッする瞬間を今か今かと待つ体制に入ります。

さて…、どのような流れでまぐ☆わいへと至るのだ!?
恐らく、付き合い始めた二人の幸せな日々が少し描かれるのであろう。そしてそのうち、どちらかが(恐らく主人公が)、意を決して誘うのであろう。さて、そのとき、どんな2828会話が見れるのか。
そちの技、とくと見せるがよい!
当方に、勇者セーブの準備あり!
エロエロの前のニヤニヤ、その風の吹く刻(とき)を見極めてくれるッ!

…と、勝手に滾っているうち、二人は手を繋いで、隣り合った家の方へと帰りました。うんうん、初々しくて良いではないか、良いではないか。このみの家の前には、彼女の母親である春夏さんが。二人の睦まじい様子を見て、幼いころからの仲が恋として成就したことを察してくれます。

…察してくれます。
それは、もう、とても、非常に。

「それじゃ、私、ちょっと家を空けるから。ていうか、夜まで戻らないと思うけど、うふふ」

ホールド…ホールド…オープンファイア!


「さっすが~春夏さんは話がわかるッ!」


いや、でも…おい!春夏さんよ!話がわかり過ぎるだろそれは!
まだ15そこらの娘を、獣欲燃え盛りの少年と二人きりに!あ、いや設定上の年齢は18歳以上だったか…メンゴメンゴ。
でも、家に二人きりは無いと思うな!まぁ、今までも二人きりでお泊りとかさせてたけどさ!

そんなわけで、二人でこのみの部屋に入り、河原で汚れた服を洗濯するために脱ぎ、河原で負ったかすり傷をぺろぺろして癒したりしてる間に、雰囲気がうれしはずかしなかんじになっていき、めでたく初ファックとあいなるのでした。もう、タカくんのエッチ…。

…いや、まぁ、思ってたよりエロかったから、そこまで暗黒騎士春夏さんを糾弾せずともいいか…?先述したように自分は常人に比べERO沸点が非常に低いと思われる(また、あまりの高温には耐えられない)けれど、ぺろぺろしたりなめなめしたりファックしたりふきふきしたりまたファックしたり、結構長くて濃いのではないでしょうか。だから、エロ展開自体はおkということに。
だけど、その…、この、「エロ前」の展開は、なんか納得いかない。娘さんの交合シーンをご使用してしまった身で言えることではないかもだけれど、その、春夏さん…、話がわかり過ぎではないのか。そこまで気をきかせずとも良いでござろう。子供の交尾に親がわざわざ手を貸すのは、お節介というものではないのか。もっと、こう、付き合ってからのイチャイチャとか!そこから一閃踏み越えるためのドキドキとか!そういうの!もっと、こう!僕は見たかったなぁ!なー!

見たかった…見たかったんだ…。
やっぱり、ERO前の展開は、僕にとって心のオアシスなんだ。大切なものなんだ。なぜなら私も特別な存在だからです。
そんな、配下のテンプルナイトに戦利品として投げやるように、娘の純潔を男に与えてほしくは無かったんだ…。

あ、タマ姉と草壁さんのルートもやったよ。タマ姉については…うん…いきなり尻に入れるってのはどうかと思いました。尻肉は好きですが、尻穴は普通に汚いものだと思ってるンで、どうもウシロファックには性欲を持て余せません。
聞くところによると典型的ツンデレヒロインの由真のエロシーンでもシリアナファックがあるというけれど、なんですか、このゲームはあれですか、「気の強い女は尻にぶち込んで黙らせればいい」みたいな、歪んだ哲学に染まっているンですか(いやでもタマ姉に関してはぶち込むというよりぶち込まされてたよね)。まぁでもタマ姉はおっぱいでかいし基本的に完璧超人だからいいか。
でもやっぱり草壁さん可愛いよ草壁さん。夜伽を申しつけられたい。ストーリーちょっと短すぎるけどまぁ纏まっているし、何より、品があって儚げでちょっと抜けてる黒髪ロング娘ってやっぱり好きなンですよねー。おっぱいも意外と大きいしねー。

※彼は中学からの友人で、自身の姉から雄二のような凄惨な扱いを受けた経験の為(←たぶん)、タマ姉が大嫌い。ファンディスク『トゥハート2アナザーデイズ』で春夏さんのエロシーンが無かった件について血涙を流していたことも印象深い。


、なんでこんな日にこんな話を?エイプリルフールだよ?ちゃんと嘘をつけよ嘘を
、たしかに。しかし考えてもみてください。俺の普段の言動を(主にツイッターでの)。基本、嘘ばっかりです。まぁ、作品の感想を述べるときなどはある程度真面目に言葉を発しているつもりですが、その他はテキトーなことばっかり言ってます。何度も何度もしつこく「実は僕は巨乳の17歳女子高生です。百合趣味の美少女です」とか主張しまくってるし。妹には「いちいち言動が芝居がかっててうざい、嘘臭い、胡散臭い」って3U宣告されるし。色々と不和を誤魔化し誤魔化ししながら付き合ってた友人とは絶交に至るし。
ま、そんなわけで、嘘は普段からつきまくってるわけです。悪意のある嘘はつかないようにしておりますが、だからといって正直者だというわけでは無い。
ならば、逆転の発想。エイプリルフール…つまり正直者が嘘をついても許される日…には、嘘つきである自分は逆に正直になってみたらどうかと考えたわけです。
正直に、自分を、さらけ出してみよう、と。

…と考えて、考え付くままに駄文を綴っていたら、ご覧の有様です。自分の性的嗜好をさらけ出すだけの文章になってしまいました。一種の露出狂。ていうか、四六時中これがEROいとかあれがEROいとか呟きまくっている普段の自分と大して変わらない気がします。

たった一行の改変ネタを説明しつつ性的嗜好を露出するためだけにワードで7ページも使ってしまった。アホか。
もっとこう…各方面から望まれてたような気がしなくもないグラマトン・クラリックコスプレ写真をうpするとか、『放浪息子』に影響されるあまり不細工大男なくせに女装写真をうpするとか、または着た切りスズメな革ジャンを利用して両儀式ごっこに耽っている(ただし殺人は勘弁な)写真をうpするとか、そういうアレの方が良かったかもだなぁ。まぁでも、牧師服やスカートや女性用和服を買うのはエロゲーを買うより恥ずかしいと信じているような種族だからしかたないね。仕方ない。

とりあえず、今年度もよろしくお願いします。

戦争における「人殺し」の心理学

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
(2004/05)
デーヴ グロスマン

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○導入 
戦争という異常な環境において、いかなる心理のもとに兵士は敵兵を殺すのか。なぜ殺すことができるのか。殺すときには何を考えているか。殺した後には何を思うか。その殺しが個人と社会にいかなる影響を及ぼすか。そもそも、どのようにして「人を殺せる兵士」は作り上げられるのだろうか。
 元軍人であり軍事学者であり心理学者である著者が、多くの文献からの参照と精力的な聞き取り調査、そして考察により「人殺し」の心理を解いている。
 作中で引かれているクラウゼヴィッツの「おぞましさのあまりに目をそむけたくなる部分があるからといって、その営為について考えまいとしても無駄である。否、無駄であるどころか有害でさえある」という言葉通りの、お勧めの一冊。

○感想 
そもそも、人は人を殺せないように出来ている。強烈な抵抗感を覚えるものだからだ。

本書はまずこのことを強調したうえで論を展開している。「戦争になれば、兵士は敵を殺す」とか「殺らなきゃ殺られる、だから殺る」といった題目は、驚くなかれ、当然自明のことではないのだ。たとえ自分が殺されかねない状況であっても、敵を殺そうとしない兵士は多く存在するという。

繰り返し言及される「第二次大戦時の発砲率は15から20%、しかし朝鮮では50%、ベトナムでは90%を越えた」という統計結果。また、現代の紛争でも、先進国軍と後進国軍の殺傷率比が数十対一になることなど珍しくない。これは装備や戦術、そして訓練の差ではある。
訓練の差。この本質は単なる量・質的な差のみには留まらない。そもそもの方法論的差が存在するのだ。それは何か。つまり、現代の訓練法に共通した特徴とは何なのか。

それは主には「条件付け」である、と結論している。パブロフの犬やスキナ―の鼠の実験で知られる、条件付け訓練法。それはすなわち、「人型が見えたら、撃つ」という条件と反応を体に覚え込ませ、判断を単純化し、成否に応じて賞罰を与え、躊躇や失敗を減らす方式であるという。第二次大戦以前の射撃標的は固定式の円形のものが主流であったが、ベトナム期ともなると可動式の人型のものが主流となった。これは、「条件付け」において非常に大きな違いなのだ。
この論から考えれば、あの『フルメタル・ジャケット』の新兵訓練場面は、「適切な条件のもとで反射的に射撃する兵士を作る」という現代的訓練法の特色についてはあえて描いていないといえるのかもしれない。

近年に確立された方式である「条件付け」以外にも、人類誕生以来脈々と受け継がれ磨かれてきた、「殺人を可能にする要素」は沢山ある。主には、これらの要因に分けて説明している。
権威者の要求。集団免責。殺人者の素因。犠牲者との物理・心理的距離。犠牲者の標的誘因。

一つ一つについて説明するのはここでは避けるが、自分が最も興味深く感じたのは「犠牲者との距離」の要因だ。
素手で一人を直接殺すより、爆撃機で数百人を間接的に殺した方が、精神的負荷は少ない。このことには、彼我の物理的距離と、心理的距離(特に機械を用いることによる)の影響が大きい。
初期の銃よりは弓の方が殺傷力は高かった。しかし、銃を用いた軍隊の方が強かった。これについても、「敵を肉眼で直接狙う弓より、照星を介して狙う銃の方が気が楽」という機械的心理距離の影響があると言う。

「奴らは自らを正義と思い込んで疑いもしない」「奴らは敵を人間となんて思っちゃいない」。
これらはよく聞く台詞だ。だが、これらは言いかえれば、
「正義だと思いこまなければ」「敵を同類だと思い込んでいては」戦争なんてやってられない、ということでもある。
こういった、戦争につきものである独善的な正義意識や非人道的な差別意識は勿論肯定できたものではないが、そういった精神傾向にある兵士らを「狂っている」として思考停止すべきではない。必要と必然があるのだ。こういった「距離」の概念で説明できるという。前者は倫理的距離、後者は文化的距離。これらの距離を意図的に作り出すことで兵士の殺人を容易にし、後々まで残り個人と社会に悪影響を及ぼす精神的被害の発生を減らしているというわけだ。

さて、先に述べたように、そもそも人は人を殺すときに強烈な抵抗感を覚える、という論に基づいてこの本は書かれている。しかし、その例外に属する人間の存在についても言及されている。
統計においては全兵士の2%、精神病理においてはソシオパスに分類されることもある、所謂キラー・インスティンクトを持つ、「人殺しに適した」性向の人間。
例えば、第二次大戦時の空戦における死者の40%は、1%の天才パイロットによってもたらされたものであったと言う。また、厳しく選抜される兵種である狙撃兵や特殊部隊員は通常の歩兵に比して圧倒的な殺傷率を挙げる。加えて、通常の歩兵でも、接近戦における殺人経験に罪の意識を殆ど負っていない例が少数ながら存在するという。
こうした希少な「ナチュラル・ボーン・キラー」の精神構造についても、多くの例を挙げて考察している。攻撃的性向と感情移入能力の程度がその精神構造を作る主要な二変数であるらしい。

思えばこれまで、戦争や兵士を要素としたフィクションやノンフィクションには多く触れてきた。先にあげたような「戦争物にはよくある台詞」も多く見てきた。しかし、それらを真に解体して理解しようとする試みは疎かだったのではないか。自分は「戦争もの」を巡る重大な問題に対して慎重であるというよりは、臆病で怠惰だったのではないだろうか。この本によって、また自らの姿勢を見つめなおさねばならないと感じた。

そんなわけで、豊富な実例と学説、そして考察によって、読む人の常識を揺さぶってくれる本だ。現実の兵士の心理状態や戦争の実態を知りたい人は勿論、戦争を題材にしたフィクションにおけるリアリティを追求したい人にも是非薦めたい。


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2010年読書記録、あとベストテン(1月18日追記)

○序文
あけましておめでとうございます。七草粥も食いおわり、2011年も本格的に始まりましたね。
しかしほんとまじでお久しぶりです。一応生きてました(twitter見てる方はわかるでしょうが)。
FC2ランキングから「更新どころかログインすらしてないから登録抹消すんぞ」って連絡がきました。まぁランキングに登録したところでどうせアクセス数は(以下略)

○説明
さて、今回は、去年(2010年)に読んだ本を晒します。ええ、読書メーターの機能に頼り切った日記です、大統領(ミスタープレジデント)。
年始の頃にゃ「せめて1年100冊の大台は突破したいな」と思っていたんですが、そうもいきませんでした。1年で54冊。大体、一週間に一冊のペースですね。なんだかなぁ。一冊読むごとに二冊増える積み本。崩れる日は来るのか。神は崩せと言っている。ウカムルバス。
数がすべてではないけれど、どうも少ない。読みたい本はまだまだある。そして、数が少ない代わりに精読出来ているかというと、かなり怪しかったりします。どれでもいいから一節を諳んじてみろとかあらすじ要約してみろ、とか言われたら、しどろもどろになること請けあい。なんか最近、集中力のダウンが激しいンですよね。どうにかならんか。
SFからも離れ気味。古典や新作をスルーして(嗚呼)、それらの中間に当たるニューウェーブやサイバーパンクに突撃してますが、それもあまり進んでなかったり。
SF以外でも、欧米やロシアの古典にも疎いままだし、ラテンアメリカ文学なんかも面白そうだし(丁度バルガス・リョサがノーベル賞取ったね)、そもそも「読まなきゃ」って感覚に追われすぎるのって不毛なんじゃないかしらとか悩んだりなんなりする今日この頃。でもまぁ色々触れて、感性を養っていきたいものです(こればっか言ってるな)。

○内訳
読んだ本の内訳としては…、
・海外小説(主にSF・冒険)…19冊
・国内小説(々)…16冊
・銀河英雄伝説…14冊
・海外実録物(ていうか軍事)…4冊
・国内随筆…1冊
というわけで、銀英伝大勝利。あとフォーサイス。

○選抜
どうせだから小説ベスト10とかやっちゃいますか。やっちゃいましょう。単行本を2009年以前に読んだ作品(というか文庫化された伊藤計劃小説)は対象外ということで。
普通「2010年ベスト」って言ったら2010年内に出た本を評するのが常識なんだろうけれど、新刊の読書数が非常に少ないので、その常識をぶち殺させていただきます。
では、以下、読んだ順。寸評付き。


・1984年(ジョージ・オーウェル)
『動物農場』も読んだ(付録・注釈も)のだが、やっぱり単なるソ連批判ものとはとれなかった。もちろん契機としてはスターリニズムへの反発があったのだろうし、ビッグブラザーやナポレオンが誰に似てるかは明白なのだけれど、言語を単純化することで思想を誘導し、単純な独裁・隷属トップダウン方式を脱却し、外部の恐怖を前提とした統制に関しては、国家システムの運用手段として普遍的であり、その極致を創出する手段としてのSFなのではないか。ちなみに村上春樹の1Q84は読んでない。

・太陽の帝国(J・G・バラード)
「自伝的小説」とは自伝そのものではなく、回想と想像の溶け合う様相において、まぎれもなく小説である。太平洋戦争当時の上海を、終末的で緻密な描写によって再構築した作品。残酷だけれど美しい。そんな世界を構築する方法論は、純文学と言うよりSF寄りだと感じた。伊藤計劃『虐殺器官』の一節で語られていたように、(ストーリー展開自体は原作に忠実な)映画版とは結構印象が違う。原作は「画面いっぱいに蠅が飛び交うような、終末観の漂う」イメージ。映画版は戦時下における少年の成長(ショタベール可愛い)を爽やかに描いたイメージ。
(1月18日追記、追記欄へ)

・闇の奥(ジョゼフ・コンラッド)
映画から来ますたその1。アポカリプスナーウ。「気の狂った文明人を追って、未開の地の深淵へと遡る」というプロットはこれまでいくつか見たけれど、近代におけるその原点なのだろうか。古典新訳文庫で読んだんだけど、岩波版なども読んでみたいですね。原書?えいごわかんないよう(泣笑)。

・悪童日記(アゴタ・クリストフ)
日記調の簡素な文体で、双子の少年達が戦火の街を強かに生き抜く様を描き出す。舞台は独ソ戦下のハンガリーだと思われるが、あえてそう明言はされてないからこそ20世紀の暗黒の一般性が強調されていると思う。一人称「ぼくら」の用い方が何より凄い。

・銀河英雄伝説(田中芳樹)
自分はヤン派。ラインハルトさまはなんかギラギラしてて(謎)苦手なのですわ。ユリアンがヤンを、ヤンがユリアンを見つめる視線、そして「後世の歴史家」からの彼らへの評。機能不全を起こしている組織や国家への、冴えた皮肉。艦隊戦よりも、そういった部分が好み。地味だけど、ヤン・タイロンのテキトーっぷりと息子との相似など、小エピソードもいい。あと歴代皇帝残虐物語。ルドルフ大帝のやること古めかしさには逆に惚れ(違)た。宇宙世紀にロボトミー手術っておま。

・スキズマトリックス(ブルース・スターリング)
サイコーに読みにくい(これについてはニューロ等と違い翻訳も気に入らない)が、宇宙時代に広がっている多様な生活形態は見もの。基本的には生体工作者(バイオ的人体改造派)と機械主義者(サイボーグ的人体改造派)の対立の構図を取っているが、分派も例外もたっぷりあって何が何だか。主人公リンジーの一世紀以上にわたる漂浪、その果てに見たものにちょっとしみじみ。

・ジャッカルの日(フレデリック・フォーサイス)
映画から来ますたその2。狙撃手とフォーサイスがマイブームだったので。ジャッカルがあくまで紳士然としていた映画版から受ける印象とは違い、実は彼が紳士ワナビだったことがさらりと明かされたりするのだが、まぁそれはいい。ジャッカルホール(婉曲表現)の安否に気がとられるのだが、それもいい。調べつくし、備えつくし、致命の一瞬を待つ。それでこそ暗殺者。それでこそスナイパー。いつかヨーロッパに行ったあかつきは、ジャッカルツーしたいよね。足跡辿るの。レンタカーのシャーシの裏側にナゾの鉄パイプを隠して。

・マルドゥック・ヴェロシティ(冲方丁)
個人的にどうも賭け事が苦手なために(笑)ノリきれなかったスクランブルより、ケレンの利いた暴力が吹き荒れるこっちのほうが好き。スラッシュやイコールを多用した無機的な文体と、前作の巨敵ボイルドが虚無へと落ち行く様のシンクロが素晴らしい。

・カウント・ゼロ(ウィリアム・ギブスン)
『ニューロマンサー』の続編。コーネルの箱をモチーフとした美術品探求、二度も章題に使われる「栗鼠の森」、懐古や感傷が意外としみる小説である。ボンクラ的には主人公の少年ボビィ、自称「伯爵(カウント)ゼロ」のダメっぷりに萌え萌え。その中二病丸出しな自称、エロ動画を見ようとしてやらかした致死級の失敗、そして謎の電脳美少女に救助され、童貞丸出しの言動連発、最後にちょっと活躍。というわけで、randam_HEXAの同人誌にも書いてあったように、なんというかラノベっぽい(笑)。続編にもロリっ子が出るんだぜ。しかもヤクザの幼い一人娘で、ハーフの日本人で、ちょっと百合属性もあったぞ!

・寒い国から帰ってきたスパイ(ジョン・ル・カレ)
冷戦下、東ドイツの防諜副長官ムント抹殺の為、あえて困窮に身を落してまで作戦に従事する英国工作員リーマスの悲哀。疑いに疑いを重ね、意図を読み合う中盤はややダレてる気もするが、「休暇の無い役者」としてのスパイの過酷さにはハラハラ。それより何より、小島秀夫監督による推薦文にも書いてある通り、ラストシーンが圧巻。俺の中でのベスト・オブ・フラッシュバック。あ、映画版はまだ見てないんだぜ。

○全貌
読書メーターの機能を利用した、2010年読了リスト。最後に読み終えたものから順。これまた寸評ついてるものはついてます。最近書評はこっちに書くことが多いです。ブログより短し、ツイッターより長し。わりと使いやすい。

2010年の読書メーター
読んだ本の数:54冊
読んだページ数:19364ページ

結晶世界 (創元SF文庫)結晶世界 (創元SF文庫)
ひたすら繰り返される、幻想的な結晶化した世界の描写。河の遡上を主とした弛緩したストーリー展開や、未開のアフリカの描写(原住民への視点含め)等はやはり『闇の奥』を思わせるのだけど、社会と言うより世界を見た小説なので、一概には言えない。残酷ながらも美しい滅びのイメージには翻弄された。でも終盤のアレには「オクトパシーかよ!」と突っ込んでしまった。すいませんつい。
読了日:12月31日 著者:J・G・バラード
メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)
ハーモニー文庫化ついでに再読。伊藤計劃作品としてはオリジナル長編との文体やSF観の違い等から、これまでは過小評価していた気もする。しかし、同人誌やブログ、そして一人称視点小説で「物語る行為」そのものに真摯であった氏の作風を思うに、オタコンの視点を用いて、戦いに赴いたスネークのSENSEを細やかに追い、そして伝えようとしたこの小説は、やはり氏の作品を物語るに欠かせないことを再認識できた。「視点ブレが激しい」ととられかねないオタコンの語り口には、人の営みを言葉として紡ぐことの価値が歌いあげられている。
読了日:12月30日 著者:伊藤 計劃
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
文庫化&twitter読書会&漫画化一か月前記念に再読。
読了日:12月30日 著者:伊藤計劃
吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)
さほど吸血鬼ものに触れてきたわけでもないけれど、源流を探ってみたくなったので。映画等で象られたイメージとは異なる伯爵の異相、伯爵との対決を通して純化される神への信仰心、狼と蝙蝠と霧を媒介とした恐怖のイメージなど、学ぶところ多く。ところで、みんな手紙や日記書くの早すぎなので、ブログすらろくに更新出来てない自分には辛い(笑)。
読了日:11月23日 著者:ブラム ストーカー
寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)
中盤の聴取を中心とした展開はいささか平坦だけれど、査問会において明らかになっていく“作戦”の構図、利用し利用される立場の人々の蠢き、非常に引き込まれる。印象的な場面は、「演技が生業である点では役者や詐欺師と同じ。しかし彼らと違い、日常にあっても演技を解くことはできない」とスパイの過酷さをとく箇所、それと何より、フラッシュバックが劇的なラストシーンか。
読了日:11月05日 著者:ジョン・ル・カレ
動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)
読了日:10月24日 著者:ジョージ オーウェル
ブラヴォー・ツー・ゼロ―SAS兵士が語る湾岸戦争の壮絶な記録 (ハヤカワ文庫NF)ブラヴォー・ツー・ゼロ―SAS兵士が語る湾岸戦争の壮絶な記録 (ハヤカワ文庫NF)
スカッドをスカッと、などと下らない予想を立てていたけどそんなことは無かったぜ。映画のようにはいかない。看板に偽りなしの壮絶な記録。一番気に入った場面は、390ページ、過酷な捕虜生活のなかで覚束なくなってしまった日にちを、新聞で確認するところ。イラク兵が多国籍軍の空爆を非難する目的で、著者に新聞を見せつけるのだが、かえって時間感覚を回復させ、ひいては生存意志を吹き返させてしまったわけである。
読了日:10月20日 著者:アンディ マクナブ
モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)
ガジェット勝負ってだけじゃなく、プロットも編まれてる。主人公は4人、それらの道筋が一つになっていく様は前作以上に気持ちがいい(剃刀女に功労賞を)。終盤など、まさに“ニュー・ロマンティック”。東京、ロンドン、スプロールの三大都市における「ゴミ」の考察など、現代的な都市感を写し取っている。電脳空間の描写がより鮮明になり、作中世界の技術進歩と、現実におけるサイバーパンク的な下層への技術浸透社会の非到来を思ってしみじみ。これで三部作(+クローム)を読み終えたわけだけど、今からだと他作品がなかなか手に入らん(泣)
読了日:10月19日 著者:ウィリアム・ギブスン
カウント・ゼロ (ハヤカワ文庫SF)カウント・ゼロ (ハヤカワ文庫SF)
傭兵ターナー、画商マルリィ、童て…伯爵ボビィ。三人の主人公を据えており、それらの行動目的が終盤に一筋に定まって行く様も気持ちがいい。このような複数主人公構造や、どうにも冴えない思春期少年を主人公としたボーイミーツガール要素を採っていることもあり、前作よりハマりやすいかも。「箱」の真相や終章の栗鼠など郷愁を呼び起こす事物が多く描かれ、作中で言う「ジャンプ」(=進化と成長のための飛躍)と対比されて、なおさらしんみりさせてくれる。
読了日:09月25日 著者:黒丸 尚,ウィリアム・ギブスン
紫色のクオリア (電撃文庫)紫色のクオリア (電撃文庫)
読了日:09月15日 著者:うえお 久光
マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)
読了日:09月08日 著者:冲方 丁
マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)
読了日:09月07日 著者:冲方 丁
マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
読了日:09月02日 著者:冲方 丁
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
読了日:08月27日 著者:森見 登美彦
フルメタル・パニック!12  ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)
読了日:08月27日 著者:賀東 招二
戦争の犬たち (下) (角川文庫)戦争の犬たち (下) (角川文庫)
読了日:08月27日 著者:フレデリック・フォーサイス
戦争の犬たち (上) (角川文庫)戦争の犬たち (上) (角川文庫)
読了日:08月16日 著者:フレデリック・フォーサイス
コンラッド短篇集 (ちくま文庫)コンラッド短篇集 (ちくま文庫)
読了日:08月08日 著者:ジョウゼフ コンラッド
ティファニーで朝食を (新潮文庫)ティファニーで朝食を (新潮文庫)
読了日:08月01日 著者:トルーマン カポーティ
ジャッカルの日 (角川文庫)ジャッカルの日 (角川文庫)
読了日:07月26日 著者:フレデリック・フォーサイス
銀河英雄伝説外伝5 黄金の翼 (創元SF文庫)銀河英雄伝説外伝5 黄金の翼 (創元SF文庫)
読了日:07月26日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮 (創元SF文庫)銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮 (創元SF文庫)
読了日:07月23日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説外伝〈3〉千億の星、千億の光 (創元SF文庫)銀河英雄伝説外伝〈3〉千億の星、千億の光 (創元SF文庫)
読了日:07月20日 著者:田中 芳樹
フルメタル・パニック!11  ずっと、スタンド・バイ・ミー(上) (富士見ファンタジア文庫)フルメタル・パニック!11 ずっと、スタンド・バイ・ミー(上) (富士見ファンタジア文庫)
読了日:07月19日 著者:賀東 招二
四畳半神話大系 (角川文庫)四畳半神話大系 (角川文庫)
読了日:07月18日 著者:森見 登美彦
神の拳〈下〉 (角川文庫)神の拳〈下〉 (角川文庫)
読了日:07月17日 著者:フレデリック フォーサイス
神の拳〈上〉 (角川文庫)神の拳〈上〉 (角川文庫)
読了日:07月12日 著者:フレデリック フォーサイス
ゲバラ日記 (角川文庫)ゲバラ日記 (角川文庫)
読了日:07月05日 著者:チェ ゲバラ
銀河英雄伝説外伝〈2〉ユリアンのイゼルローン日記 (創元SF文庫)銀河英雄伝説外伝〈2〉ユリアンのイゼルローン日記 (創元SF文庫)
読了日:07月05日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者 (創元SF文庫)銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者 (創元SF文庫)
読了日:06月27日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)
読了日:06月21日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)
読了日:06月18日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説 8 乱離篇 (8)(創元SF文庫 た1-8)銀河英雄伝説 8 乱離篇 (8)(創元SF文庫 た1-8)
読了日:06月14日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説〈7〉怒涛篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈7〉怒涛篇 (創元SF文庫)
読了日:06月10日 著者:田中 芳樹
スキズマトリックス (ハヤカワ文庫SF)スキズマトリックス (ハヤカワ文庫SF)
読了日:06月07日 著者:ブルース・スターリング,小川 隆
銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)
読了日:06月03日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)
読了日:05月28日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説〈4〉策謀篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈4〉策謀篇 (創元SF文庫)
読了日:05月25日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)
読了日:05月16日 著者:田中 芳樹
銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)
読了日:04月27日 著者:田中 芳樹
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
読了日:04月27日 著者:アゴタ クリストフ
狙撃手(スナイパー)狙撃手(スナイパー)
読了日:04月20日 著者:ピーター ブルックスミス
ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)
読了日:04月15日 著者:S-Fマガジン編集部
シェパード (角川文庫)シェパード (角川文庫)
読了日:04月11日 著者:フレデリック・フォーサイス
陽気な黙示録―大蟻食の生活と意見‐これまでの意見編 (ちくま文庫)陽気な黙示録―大蟻食の生活と意見‐これまでの意見編 (ちくま文庫)
読了日:04月06日 著者:佐藤 亜紀
戦場の掟戦場の掟
読了日:03月28日 著者:スティーヴ・ファイナル
伊藤計劃記録伊藤計劃記録
読了日:03月21日 著者:伊藤計劃
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)
読了日:03月17日 著者:塩野 七生
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
読了日:03月09日 著者:桜坂 洋
ウィザーズ・ブレイン (電撃文庫)ウィザーズ・ブレイン (電撃文庫)
読了日:03月06日 著者:三枝 零一
闇の奥 (光文社古典新訳文庫)闇の奥 (光文社古典新訳文庫)
読了日:02月24日 著者:ジョゼフ コンラッド
太陽の帝国太陽の帝国
読了日:02月05日 著者:J.G.バラード
龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)
読了日:01月14日 著者:古橋 秀之
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
読了日:01月12日 著者:ジョージ・オーウェル

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それじゃ、また、いずれ、な…。

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スターリングラード

スターリングラード [DVD]スターリングラード [DVD]
(2001/11/21)
ジュード・ロウジョセフ・ファインズ

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なんか、惜しい映画じゃなかろうか…。

映画は、主人公のザイツェフ幼き頃の狼狩りで幕を開ける。
場面変わって独ソ戦。貨物車にこれでもかと詰め込まれる若い兵士達。乗っていた民間人は叩き出され、少しでも空間を捻りだすため、兵士達も立って乗車せねばならない。
息つく間もなくボルガ河畔に到着。今度はボートに詰め込まれた新兵達。スターリングラード市街地に向けて無謀な渡河をさせられる。そこを独軍のシュトゥーカが急降下攻撃。一方的な銃火と爆撃に、パニックを起こす新兵。しかし川に飛び込み逃亡を図った者の背中には、政治委員のナガンリボルバーが容赦なく浴びせられる。

なんとか河を渡りきった先の市街地は、ほぼ廃墟と化している。将校の拡声器から、突撃命令が放たれる。
弾は一人5発。銃は一人半挺…「銃は二人につき一挺が支給される! 銃を持たぬ者は、持つものが倒れたら、それを拾って突撃しろ!」

運悪く、銃を与えられないまま敵陣に走らされるザイツェフ。目の前で倒れた兵士の手元から拾おうとするが、一手遅れて、他の兵士に奪われる。

無謀な突撃。伏射姿勢で待ち構えるドイツ兵の前に、若い兵士達が次々に倒れる。たちまち戦線は瓦解し、ソ連の新兵達は敵に背を向け撤退しはじめる。

「一歩も退くな! 逃亡兵は銃殺する!」
待ってました、みんな大好き督戦隊。拳銃のみならず据付の機関銃まで持ち出して、士道不覚悟の逃亡兵どもに容赦なく鉛玉を浴びせる。

ソ連兵の死体で満たされた戦場に、ドイツ軍の放送が響きわたる。「ソ連兵諸君、我々は敵では無い。兵士達を死地に追いやるスターリンとボルシェビキこそが君達の敵である」と。

そんなこんなで、召集→到着→突撃→全滅を一息に見せてくれる序盤。人海戦術、二人一丁、督戦隊…「ソ連マジどうしようもねぇな…」と思わせてくれたところで、主役の活躍。折り重なる死体に隠れて、いかにもナチでデヴな将校を嚆矢に、モシン・ナガンの1クリップ5発全てを、ドイツ兵の額に叩きこむ。
この功績により彼はソビエトが誇る最高の狙撃兵として祭り上げられ、活躍と葛藤を繰り返すことになる。

中盤の狙撃戦も良い。特に工場の戦闘。パイプをくぐって回り込み、ガラスの破片を利用して敵の位置を探る。少しでも身体を出せば、死が訪れる。
「はるか遠くの敵をも射抜く」というよりは、「待ち構え、先回りし、一瞬の隙も逃さない」という狙撃戦だ。そのため、「一撃の為にそこまでするか」と唸ることは多いが、対して、「あんな遠くの小さな的によく当てられるな」と驚くことは冒頭以外はあまり無い。室内戦も多いためだ。

待ちに徹し、一瞬の隙も逃さない老練の狼・ケーニッヒ少佐。
敵の動きを探り、チャンスを作り出す若き狩人・ザイツェフ。
この対決の構図だけでも、つい燃えてしまうことは言うまでもなし。

…いいじゃねぇか。何が惜しいってのか。
…もしかして、やっぱり。
うん、そうなんだ。要は、「三角関係とかそういうのはいいから、戦闘に集中してくれよ」、ってことなんだ。

(以下、かなりネタバレ)
こう反論されるかもしれない。
ザイツェフとケーニッヒの決着において、友情と愛情は重要な役割を果たしている、と。
たしかにその通りだ。若きザイツェフの技量は、老練のケーニッヒには及ばない。最終的に勝敗を分けたのは、狙撃の技術ではなく、彼らが負っているものの差であった。
片や、恋人を失った怒りと悲しみ。そして、失われつつあるゆえに輝きを増す、友人との絆。
片や、息子を失った悲しみ、ベテラン職業軍人としての矜持、そして除隊を迫られつつある焦り。
ケーニッヒは最後の戦闘ではそれまで保っていた冷静さを欠く。勝利を確かめるために、無謀にも立ちあがりザイツェフのポジションを探ろうとし、その結果、敗れる。

その通り。技ではなく、情が勝敗を分けた。

…だが、そういう決着を採るべき必要があったのか?
普通に、戦闘の技術に重点を置いてくれて良かったのではないのか?
技術があるだけでは勝てない、感情がなければ勝てない。たしかにそうかもしれない。しかし、この映画の場合、画面には三角関係という要素を、台詞には体制批判という要素を、それぞれ混ぜ込もうとし過ぎていて、結果としては戦争そのものの描き方が不徹底になってしまっている。

例えば、自分が恋に破れたことがわかるやいなやザイツェフ批判を新聞に載せる、終盤のダニロフ。あまりに唐突で度が過ぎており、見ていてつい笑ってしまったくらいだ。
ショタが吊られてしまったことも気づかずイチャイチャしている主人公とヒロインの姿にも、不快感を覚えた(←これは非モテゆえの理不尽な考え方かもだ)。

ユダヤ人問題も交え、ナチスのみならずソ連の体制も批判している。だが、その批判内容は、「平等の名の下に特権階級支配」を平板に語るのみで、わざわざ台詞にするまでも無いのではとさえ思う。
ソビエトの体制のマズさについては、冒頭の戦闘の酷さだけで十分伝わる。仮にそれが無かったとしても、極端な話を言えば、フルシチョフの存在だけでも十分に体制の矛盾が説明できているのではなかろうか。着任早々スターリンの威光を振りかざし強権的な指揮を執り、戦争におけるプロパガンダの威力を最大限に活用し、その為には人民の命も金も惜しまず、しかし後にはスターリン体制を批判し冷戦の雪解けにも貢献したという史実。

三角関係と、体制批判の上滑り感。
この上滑り感を合理的に説明できる、一種のトンデモ説をぶち上げることも不可能ではない。

「これはソ連のプロパガンダ映画のパロディですッ!」(C・風のシスティーナ)
…という説を。

根拠はいくつもある。
・ザイツェフの来歴をはじめとして、史実とはかなり異なる
・ザイツェフは「祭り上げられた田舎者の英雄」であることが強調されている
・「愛と死」というわかりやすい構図
・そもそもケーニッヒ少佐は、ソ連がプロパガンダ用に作り上げた架空の人物らしい
・エンディングが、ソビエトのプロパガンダ映画風である。
…。
あとは任せたキバヤシ。どうも、この説を膨らますのは不毛な気がするんだ…。


というわけで、「戦闘以外の要素を無節操に詰め込み過ぎで、どうも惜しいなぁ」と感じた映画だった。
だが序盤や中盤の戦闘がいいセンスだったのは間違いない。主演のジュード・ロウも、悩める天才狙撃手の格好良さと、学の無い田舎者のイモ臭さの両方を完璧に表現していて素晴らしい。
憎み切れない…むしろ好きなくらい…どうすればいいのだろう…この感情…。

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マルドゥック・ヴェロシティ

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
(2006/11/08)
冲方 丁

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マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)
(2006/11/15)
冲方 丁

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マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)
(2006/11/22)
冲方 丁

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○概要
虚無へと失墜した男、ディムズディル=ボイルド。
前作『マルドゥック・スクランブル』にて、武装した少女娼婦バロットの前に巨大な敵として立ちふさがった男。その軌跡を追う物語。


○あらすじ
大陸間戦争にて、友軍への誤爆事件を起こした空挺部隊員ボイルド。戦闘能力向上の為に慢性的に投与されていた覚醒剤が原因であった。事件のため軍を追われた彼は、傷痍軍人の回復と改造を目的とした研究施設へと身を捧げる。
命がけの検診により覚醒剤中毒から抜け出し、疑似重力を制御する能力を与えられ、そして万能の道具存在であり唯一無二の相棒であるウフコックを得たボイルド。同じような境遇の被験者達と共に、自らの存在価値を測る日々を過ごしていた。しかし戦争は終わり、彼ら改造兵士の有用性は疑われ始め、ついには当局が秘密裏に彼らを処分するため部隊を送り込む。一方的な虐殺となるはずであった攻撃に対し、能力を駆使して抵抗する被験者達。熾烈な戦闘のさなか、研究所と当局の協議が実り、条件付き停戦合意がなされた。その条件とは、職員と患者達に3つの道の何れかを選ぶことを迫るものだった。
閉鎖した研究所で、一生政府のための研究に従事するか。
街に出て、システムの支配者たる大企業の研究に献身するか。
街に出て、システムの被支配者たる市民を守ることで有用性を証明するか。
ボイルドと仲間達は、3つ目の選択肢を採る。即ち、自らの武装と能力を駆使し、重大犯罪に巻き込まれた証人を保護する「マルドゥック・スクランブル09法」の執行人となることを。
彼ら09部隊は、やがて都市開発と世代交代を巡る大きな陰謀に巻き込まれていくことになる。


○感想
『ヴェロシティ』は、『スクランブル』終盤でバロットに敗れて死に行くボイルドの脳裏に瞬く走馬灯として、彼の過去を追う物語だ。虚無を取り込み、虚無に取り込まれることで生存した兵士が、真の虚無たる死へと取り込まれようとするその瞬間に巡る回想。グラウンドゼロへの100カウントダウン。

語り口(文体)は「/」や「=」を多用した無機質なものでありながら、人物の語りは対称的にエモーショナルであり、それらはやがて二重螺旋となって終盤の加速感へと収束する。

百鬼夜行。登場する人物はまさにそう形容するにふさわしい。それは、禁断の科学技術の申し子である09部隊の面々や、もはや人間の態すらなしていないカトル・カールの連中のみに限らない。戦争を契機として栄えたマルドゥック市に蠢く、オクトーバー社やネイルズ・ファミリーなどの表裏の権力者たちの思惑や人格も、まさに百鬼夜行の態を為している。

上で述べたような特異な文体から生まれる緊張感と疾走感溢れる戦闘場面は、「超人vs.人外」の構図をとって、過激に迫ってくる。狂ったマフィアのボスによる幼児殺害事件を端緒として、マルドゥック市の過去・現在・未来を駆け巡るサスペンス面も、真相の暴露の緩急が巧みなためもあり、非常に楽しめる。

「異能集団同士の戦闘」の熾烈さ、「都市の表裏に錯綜する陰謀」の複雑さ。これらがこの作品をドライブする二軸だ。しかし、もう一つ、欠かせない軸の存在を感じる。
「語ることの確かさ、不確かさ」。『スクランブル』と併せて読んだとき、それが顕著に見えてくる。

『スクランブル』で過去の事件として語られていた事柄の多くが、『ヴェロシティ』ではリアルタイムで語られる。例えば、『スクランブル』にてフェイスマン教授が語った三博士の対立、バロットが語った兄の生き方、ウフコックが語ったボイルドが失墜した理由。これらは『ヴェロシティ』で語り直されたことで、全くと言って良いほど違う印象を見せる。

捜査の精密さと文体の無機質さの効果も相俟って、『スクランブル』より『ヴェロシティ』で語られている真相の方が確からしく見える。しかし、『ヴェロシティ』にて登場人物の告白や自白の形で語られた「真相」についてもまた、注意せねばならないのかもしれない(例えば、終章でグッドフェロウが語ったノーマの事情は、直前にニコラスがつらつらと語ったことを鵜呑みにする読者に対して注意を促してるのかも)。

そう、真相の多くは告白によって語られる。「/」「=」で整理された事項の整然さに対していささか歪さを感じる(※)ほど、当事者たちは多くを語る。しかし、語り手を通して語られている以上、虚実が入り交じることは留意せねばならない。

「真相」は、結局のところは人の「語り」によってしかわからない代物だ。しかし、人から紡ぎだされた「語り」は必ずしも真実とは限らない。
語りの真実性を高めようとする試みとして、『ヴェロシティ』では「拷問」という手段が執拗に取り上げられる。拷問の効果とは何か。苦痛を介して対象を支配し、それにより対象の価値を引き出すことだ。この点では、「都市システム」も、「拷問」と共通している。
対して、もとから存在している価値を力ずくで引き出すのではなく、価値を新しく生み出そうとする流れに乗ろうと欲し、苦痛を無理に操作せず、知的存在と一体のものとして受け入れるというのが09側のスタンスだ。「殺らねば殺られる」「平和の為に戦う」といったお題目に逃げず、その先にある価値問題に踏み込む、真摯なフィクションだと思う。

本編は、主人公が街へ帰ってゆく場面で終わる。これは『スクランブル』と対になっていることは言うまでも無い。マルドゥックシリーズは、あと二作続く予定だという。はたして、それらの終着点における主人公と街の関係は、どうあるのだろうか。

※…そんなわけで、真相語りの多さと戦闘シーンの長さには多少飽きが来る部分もある。しかし、『スクランブル』で語られた学生の麻薬事件を探る展開からラストにかけての加速は思わず飲み込まれた。


○まとめ
というわけで『ヴェロシティ』感想でしたが、実は結構『スクランブル』の内容を忘れている気がしてならんのです。何せ、読んだのがちょうど一年前だし、もう○○才(隠すのはただの意地ゆえ)を越えているため記憶力の低下も著しいもので。
劇場アニメも公開されるし(東京・大阪・名古屋のみの公開だがな!Fack! Sit! Gaddem!)、ウフコック視点の続編『マルドゥック・アノニマス』も出るという話だし、スクランブルを引っ張り出して読みなおそうか。でもどこにやったっけ(※引っ越しのゴタゴタで色んな物が行方不明。ピースウォーカーのソフトですら)。どうせなら近々出る改訂版を買うか。編集者のツイートによると、かなり直されているようだし。一部については、“当社比”233%も興奮度が異なるとか。改訂版の話が出た当初は、「内容は殆ど変わらない」って情報だったんだけどな。

『天地明察』のヒットもあり、ますます注目が集まる冲方丁。自分はまだスクランブルシリーズしか読んでいない。丁度「ユリイカ」で特集が組まれているようだし、それもチェックせにゃっ。


(以下、追記&おまけ。特攻野郎もあるよ!)

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Solidrb

Author:Solidrb
自他ともに認めるMGS(メタルギアソリッド)フリークス。
その証拠に、当初はもっと幅広く話題を扱おうかと考えていた(←大嘘)このサイトも、ずるずるとMGSネタオンリーブログになりかけてきている。

SFを中心に、様々な作品に触れようと目論んでいる。
が、生来のヘタレゆえ、なかなか数がこなせない。

twitterや読書メーターもやっているので、そちらにも是非いらしてください。

○注意書き
・コメント、拍手
常に餓えておりますので、古い記事にもぜひ気軽にどうぞ。名前欄はテキトーでもおkです。
(今後どうなるかはわかりませんが)全レス主義で臨みます。
コメントは承認制を採っていますが、スパム以外は基本的に消さない方針です。

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